障害年金の受給
1 障害年金の対象となる病状
⑴ 1級
他人の介助を受けなければ、日常生活が不能といえる程度の症状
(例)活動の範囲が概ねベッド周辺に限られている
⑵ 2級
必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で、労働により収入を得ることができない程度の症状
(例)活動範囲が家の中、病院の中に限られている
⑶ 3級 → 厚生年金加入者のみ対象となります
① 労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることが必要な程度の症状
・一上肢(又は下肢)の3大関節のうち、2関節の用を廃したもの
・一上肢の親指及びひとさし指を失ったもの
・両下肢の10趾の用を廃したもの
② 初診日から1年6ヶ月の時点において、「傷害が治らないもの」については、労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度の症状
・一上肢(又は下肢)の3大関節のうち、1関節に著しい機能障害を残すもの
・一上肢のひとさし指を失ったもの
・一下肢を3センチメートル以上短縮したもの
2 障害年金の給付要件
⑴ 国民年金(障害基礎年金)
① 初診日(症状について初めて医師の診療を受けた日)に国民年金に加入していること
※20歳前や60歳以上65歳未満(年金に加入していない期間)で、日本国内に住んでいる間に初診日があるときも含まれます。
② 初診日までに一定の保険料を納めていること(20歳前に初診日がある場合を除く)
③ 障害の等級(1級又は2級)に該当していること
⑵ 厚生年金
① 初診日(症状について初めて医師の診療を受けた日)に厚生年金に加入していること
② 初診日までに一定の保険料を納めていること
③ 障害の等級(1級、2級、3級)に該当していること
3 最寄りの年金事務所に年金手帳を持参し、初診日を伝えて相談すれば、保険料納付要件を満たしているか教えてもらえます。
4 障害年金受給のポイント
障害年金の申請には、障害認定日請求と事後重傷請求があります。
障害認定日請求とは、障害認定日(初診日から1年6ヶ月経過した日)から3ヶ月以内の診断書(所定の書式あり)が取得できる場合に申請ができます。
一方、それができない場合には。事後重傷請求の申請をすることになります。
ポイントを一言でいうと、障害認定日から3ヶ月以内の診断書を作成し、いつでも障害認定日請求が可能な状態にしておくことです。事後重傷請求は、請求日の翌月分からしか年金が支給されないのに対し、障害認定日請求であれば、遡って年金が支給される可能性があるからです。
また、この障害年金については、「既に受領した金額と訴訟の口頭弁論終結時点で支給されることが確定している金額」が加害者への損害賠償金から差し引かれることになります(損益相殺)。したがって、どのタイミングで申請するのか、といったことも考えておくべきだといえます。
つまり、障害年金については、障害認定日から3ヶ月以内の診断書を作成しているか、どのタイミングで障害年金の申請をするか、といった事情により、被害者が受領できる金額に差が生じてくる可能性があります。