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死亡事故の逸失利益①(基礎収入の算定)

逸失利益とは、お亡くなりになった被害者の方が将来得られたであろう収入についての賠償金です。本来なら必要であったであろう支出を差し引いて、次の計算式にて算出されます。

①(被害者の基礎収入)×

②(1-生活費控除率)×

③(就労可能年数に対するライプニッツ係数)

 

1 給与所得者

原則として事故前の収入額が基礎とされます(給与には給与、賞与、その他諸手当が含まれます)。

将来起こるであろう昇給についても、公務員や大企業の従業員のように給与規定などが確立されている場合には考慮されます。

 

2 自営業者

原則として事故前の申告所得が基礎収入とされます。

ただし、仕事によっては、年度によって収入が大きく変動する方の場合には注意が必要です。こうした場合には、事故の前年度のみを参考に基礎収入を決めると不平等になってしまいますので、交通事故前の数年間の所得の平均額を参考とすることがあります。

 

3 主婦・主夫

原則として、賃金センサスの女性労働者の平均賃金が基礎収入とされます。

なお、家事労働は「家族のため」にする必要があり、一人暮らしの家事の場合は自ら生活していくための日常的活動であり、この場合は逸失利益の基礎収入として評価されません。

もっとも,原則、女性全年齢平均賃金が採用されると言いましたが、「特段の事情」が認められる場合には、年齢別平均賃金を参照して適宜減額するとされています。ここでいう「特段の事情」とは、家事従事者の年齢・家族構成・身体状況及び家事労働の内容を考慮して、生涯を通じて平均賃金相当の労働を行いうる蓋然性が認められない場合をいいます。

実務では、交通事故の賠償において,被害者の方の年齢・家事内容等から、家事従事者の基礎収入が争われます。
⓵ 男性が主夫業をしている場合

男性の家事従事者の場合にも、基礎収入額は男性平均賃金ではなく、女性平均賃金を参考として認定されます。

ただし、現在でも男性が中心となって家事を行なっている例は多くはないことから、保険会社は容易には男性の家事従事者性を認めず、強く争ってくる傾向にあります。このため被害者側としては、家族構成・家事の分担・生活状況・就労状況・扶養関係等の具体的・個別的事情を明らかにし、実際に被害者が家事を取り仕切っていることを主張・立証していく必要があります。

 

② 高齢者が同居人のために主婦業をしている場合

年齢を問わず、実際に家族のために家事労働をしていれば家事従事者に当たります。

ただし、高齢者の場合、家事労働の程度が軽いことが多いですので、一般に年齢別平均賃金が採用され、かなり高齢の方については平均賃金を何割か減額した額が採用される傾向にあります。もちろん高齢者の方でも、若い主婦と同様に家事全般を取り仕切っている方もいらっしゃいますので、年齢だけで一律に減額されるわけではありません。被害者側としては、被害者の年齢・健康状態・家族構成・家事の分担状況・家事内容及び分量等の具体的事情を主張し、妥当な家事労働の評価を主張することになります。

 

③ 別居の家族のための家事労働

家事労働は「家族のため」にする必要がありますので、一人暮らしの家事の場合は自ら生活していくための日常的活動であり、金銭的には評価されないのが原則です。

もっとも、別居の家族を介護している場合など、時々の手伝いではなく、継続的に家事を行なっている場合であれば、家事労働として認められる場合があります。

 

4 学生・年少者

原則として,死亡した年の賃金センサスの被害者の属する性の学歴計・全年齢平均賃金を基礎収入とします。

他方,大学生や大学進学の蓋然性が立証された被害者については死亡した年の大卒の平均賃金を基礎収入とすることもできますが,逸失利益の計算にあたっては就労の開始時期を大学卒業予定時期として計算することになります。

 

5 年金受給者

⑴ 就労していない場合に逸失利益は認められません。もっとも,就労の蓋然性があることを前提に,死亡した年の被害者の性の学歴計・年齢別平均賃金を基礎収入とすることはあります。

⑵ 年金の逸失利益性

老齢・退職年金、障害年金など、保険料を負担し、生活保障のため支給されているものについては、逸失利益の対象となる一方で、受給者の保険料の負担が無く、社会保障として支給される遺族年金等については、逸失利益の対象とはなりません。

生活保障のために支給される年金は、生活費に費やされる割合も高いと考えられるため、年金のみしか収入がない場合、生活費控除率は概ね60%程度(50~80%)となります。ただし、年金以外にも所得収入がある場合には、年金収入が生活費に費やされる割合が高いとは言えず、通常の生活費控除率で計算されることが多いです。

そして、平均余命(年金が受給できるはずだった年齢)までの年数に対応するライプニッツ係数にて逸失利益を計算します(東京地裁判決平成20年12月17日判決等)。

 

 

 


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